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誤読と曲解の映画日記

映画鑑賞日記です。

ハズレを引くこと/2017年1月のまとめ

今月のまとめ

ハズレを引くこと

1月も最終日になりましたが、今年最初の今月のまとめです。今年もよろしくお願いいたします。


さて、このあいだ、レンタルしたDVDでとある映画を観たのですが、ひさびさに「あ、これはハズレだね」という作品でした。ひさびさにハズレを引いたので、むしろ新鮮ささえ感じました。映画に限らず読書でもそうですが、ある程度はハズレを引くことも経験として必要なことです。

しかし、なぜこの映画が自分にとってハズレだと感じたのか、この映画のどの部分が自分にとってハズレなのか、ということをあれこれ考えることが、ハズレをより良い経験とする行為ではないでしょうか。

また、自分にとってはハズレであっても、他の人にとってみたら、どこかに心揺さぶられ、感動を覚え、ひょっとしたら人生の針路を決定づける一本だという可能性もあります。

自分にとってハズレだったという一点で、その映画の内容や価値を独断的に判断し、「この映画はゴミだ、クズだ」とけなすよりは、その作品のどこがハズレだと感じたのかを自分なりに検証することは、それなりに意味のあることではないでしょうか。だから、そのハズレの作品を、頭ごなしにけちょんけちょんにいうことは控えますが。

と言いつつ、以前あるドラえもんの映画を観たとき、あまりにも設定やキャラクターの把握が雑なので、ツイッターでけちょんけちょんに言って、このブログにも掲載していますが。。。しかも、その記事がアクセス数では割と上位に来ています。。。

それでは、今月のまとめです。

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ひどく手遅れだったのかもしれないが/『トト・ザ・ヒーロー』

映画日記

自分で自分の人生に評価を下してはいけない

映画『トト・ザ・ヒーロー』は、自分で自分の人生に評価を下してはいけないし、自分にとっては何気ないことでも、他人から見ればそれはかけがえのない幸福なのかもしれないことである、ということをわたしたちに突きつける物語だと言えるだろう。

この物語の主人公トマは、老人ホームで孤独に暮らしていた。あるとき、自分の生涯を振り返る。自分の人生には幸せなことなど何ひとつなかった、と。それというのも、トマが生まれた産院が火事に遭い、そのときの混乱で向かいのカント家のアルフレッドと取り違えられてしまったからだと、トマ自身は信じているからだ。

そのためにトマの本当の人生や幸福はアルフレッドに奪われてしまった。アルフレッドのせいで、自分の人生は孤独で悲惨な人生になってしまった。そんな恨みを抱いて人生を送ってきたトマは、アルフレッドを殺して復讐を果たすことを決意する…...というストーリー。

わたしたちの目から見ると、トマの人生が愚かで惨めな人生に見える。トマ自身も子どもの頃から老人になるまでずっと、自身の人生を愚かで惨めな人生だと考えていた。でも、物語の最後にトマと同じく老人になったアルフレッドから見たトマの人生に触れたとき、トマはおそらくはそれまでの自分の人生が一変して、幸福で光り輝いたものに見えたに違いない。なぜなら、トマが人生の最後に下したある大きな決断が、それを物語っているからだ。
Merry Go Round


※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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孤独なふたりでしか成り立ち得ない愛/『レオン 完全版』

映画日記

孤独なふたり

映画『レオン 完全版』は、多重奏のような愛情を描いた映画と言えるだろう。

多重奏のような愛情とは、どのような愛なのだろうか。この映画には、殺し屋のレオンと家族を亡くした少女マチルダとの間に恋愛感情だけでなく、親子愛や兄弟愛、同志愛に師弟愛といったさまざまな種類の愛情があふれる。レオンとマチルダはともに孤独な者同士だ。その孤独なふたりは、このふたりだけでしか成り立ち得ない愛情で結びつけられる。

ニューヨークに住む殺し屋のレオンには家族がいない。妻や恋人といった愛する者も、兄弟も親しい友人もいない。そんなレオンの唯一の家族と言えるような存在は、ひと鉢の観葉植物だけだった。レオンは観葉植物に水をやり、陽に当てるために出窓に出す。レオンは大都会の片隅で殺し屋を家業としつつ、ひとり孤独に観葉植物だけを愛おしく世話していた。

12歳の少女マチルダの父親は麻薬密売組織の一員。大物というわけではなく、下っ端のチンピラ的な存在である。そんな父親から、マチルダは日常的に暴力をともなう虐待を受けている。マチルダは義理の母親からは無関心に放っておかれ、姉からもひどい扱いを受けていた。そんなマチルダが唯一心を開いていたのは4歳の幼い弟だけだった。

ある日、マチルダの父親が密売用の麻薬を横領したことを見抜いたスタンスフィールドが、部下たちを率いてマチルダの家にやってくる。父親が横領した麻薬のありかを探し出すため、家族を次々に射殺してゆく。唯一心を開いていた4歳の弟も流れ弾に当たって死んでしまった。マチルダは愛する弟を失い、天涯孤独になってしまう……。

この物語は、隣同士の部屋の住人だったレオンとマチルダが出会ったことから、マチルダの弟の復讐のため、ふたりは突き進んでゆく……、というストーリーだ。
Bullet

※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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2016年映画日記ブログ アクセス数ランキングとおすすめ記事/12月と2016年のまとめ

今月のまとめ

ブログをはじめて1年が過ぎました

こんにちは。『誤読と曲解の映画日記』管理人の”のび”です。
さて、このブログを今年の1月に立ち上げてから、1年が経とうとしています。

もともとは、せっかく映画を観たのだから、映画を観ながら抱いた感想や疑問などを忘れないように書き留めておこうとはじめたのが。このブログです。なんとか月に2本の感想を書くという行為を1年間続けることができて、ホッとしています。

しかし、以前にも書きましたが、映画を観る時間よりもその映画についてのブログ記事を書く時間の方が長いということが、もっぱらの悩みです。また、観たい映画はたくさんあるのに、忙しくてなかなか数をこなして観ることができない、というのも悩ましいところです。たくさん映画を観て、たくさんレビューや感想を書ける人が羨ましい限りです。

まあ、そんなこんなで『誤読と曲解の映画日記』、年が明けると2年目に突入します。

さて、今回は、いつもの今月のまとめに加えて、2016年のまとめとして、年間のアクセス数が多かった記事のランキングと、管理人が個人的にオススメの記事ランキングを載せています。それでは、どうぞ。

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邪悪な存在に絡め取られた才能/『バートン・フィンク』

映画日記

バートンの才能を削り取った三人の男たち

映画『バートン・フィンク』は、ひとりの才能あふれる劇作家の若者が、邪悪な存在に触れ続けてしまったことで、その邪悪さにからめ取られてしまった物語と言えるだろう。ひとりの才能あふれる若者は、永遠に凡庸の枠に閉じこめられてしまった。もう二度とそこから出られることはないだろう。そういう意味で、非常にグロテスクで後味の悪い一本だ。

この物語は、ニューヨークの劇作家バートン・フィンクなる人物が主人公。バートンは庶民の生活を描いた演劇で高い評価を受けている。けれども彼自身は、もっと良い作品を書きたいと望んでいた。もっと社会の片隅に生きる人々の生活を描きたい、と。

そんなバートンにハリウッドの映画会社から声がかかる。映画の脚本を書く仕事を依頼されたのだ。バートンはしぶしぶながらもロス・アンジェルスにまでやってくる。そこで映画会社の社長から依頼されたのは、B級レスリング映画の脚本。バートンは困惑する。それは自分の書きたいものではないからだ。

それでもバートンは滞在先のホテルで脚本の執筆に取りかかる。うだるような暑さに支配されたホテルの部屋。あまりの暑さに壁紙の糊が溶け、壁紙が剥がれてしまうほどだ。そんな部屋で執筆をはじめても、バートンはまったく何も書けずに苦悩するばかり。そんなとき、バートンは隣の客室に滞在している保険外交員チャーリー・メドウズと出会う。チャーリーの人懐っこさもあって、ふたりは意気投合するが……、というストーリー。

筆が進まずに苦悩するバートンは、三人の男たちと出会う。三人の男たちは、みな親切そうな表情を浮かべているが、その顔の下に冷酷さや残忍さを隠し持っている。あるいは邪悪さとも言えるだろうか。バートンは三人の男たちの邪悪さに少しずつ冒されて、その才能を削り取られ、激しく損なわれてゆくのだ。

まず、いちばん邪悪な人間といえば、保険外交員チャーリーだろう。人懐っこい笑顔を常に浮かべ、バートンの話に耳を傾け、バートンの信頼を得てしまう。次にB級レスリング映画の脚本を迫る映画会社の社長。そして、酒浸りで小説家P・W・メイヒュー。


※以下、ネタバレ的な要素が含まれています。

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