誤読と曲解の映画日記

映画鑑賞日記です。

破滅へ向かって突き進む作品

たとえ逃げ道を見つけ出したとしても/『ブラック・スワン』

たとえ逃げ道を見つけ出したとしても/『ブラック・スワン』:目次 ブラック・スワンにとらわれたバレリーナ 抑圧と鬱積 邪悪で悲惨な物語 映画の概要・受賞歴など 参考リンク ブラック・スワンにとらわれたバレリーナ 映画『ブラック・スワン』は、ニューヨ…

悲惨なかたちではあれ、自分の人生から逃れられた男の物語/『バーバー』

悲惨なかたちではあれ、自分の人生から逃れられた男の物語/『バーバー』:目次 空虚な自分の人生から抜け出したいと願った男 どこかにあるはずだった本当の自分の人生 偶発的な悲劇がもたらす悲劇の連鎖 弁護士を頼んだことでますます自分の運命に縛られる …

永遠に叶うことのない夢/『サンセット大通り』

永遠に叶うことのない夢/『サンセット大通り』:目次 もがきながら進む方向が誤っているゆえの破滅 永遠に叶うことのない夢を抱いた人間たち 破滅へのレールを敷いたマックスとベティ ひどく間違ったやさしさと愛情 太陽が沈み、夜の闇が訪れる『サンセット…

邪悪な存在に絡め取られた才能/『バートン・フィンク』

バートンの才能を削り取った三人の男たち 映画『バートン・フィンク』は、ひとりの才能あふれる劇作家の若者が、邪悪な存在に触れ続けてしまったことで、その邪悪さにからめ取られてしまった物語と言えるだろう。ひとりの才能あふれる若者は、永遠に凡庸の枠…

虚栄心とプライド、そして破滅/『ブルージャスミン』

希望など、どこにも見出せない 映画『ブルージャスミン』は、落ちぶれたセレブがさらに救いようのないところまで落ちてゆくのを描く物語だ。ウォッカと精神安定剤を常に手にするジャスミンの、華やかな過去と痛々しい現実を対比させながら物語は進む。ひとこ…

あふれんばかり情けなさがあふれる世界に差し伸べられた温かな手/『ファーゴ』

転がり続ける雪玉の行方 コーエン兄弟が監督をつとめた映画『ファーゴ』は陰惨で血まみれの映画だが、見終わったあとは不思議と温かな気持ちになる映画。男たちの情けなさや弱さや欠点をこれでもかと見せられた末に、女性警察署長の地に足のついた性格と行動…

不条理、それは我々の人生そのものかもしれない/『シリアスマン』

我々の人生は不条理以外の何物でもない 映画『シリアスマン』は、人生の不条理をこれでもかと描いた作品。人生は不条理な不幸に満ちていて、人間がどうあがいても、やがて訪れる終末に立ち向かうことなどできないのかもしれないということを、これでもかと見…