誤読と曲解の映画日記

映画鑑賞日記です。

もう二度と観ることのない映画/2017年5月のまとめ

『誤読と曲解の映画日記』/2017年5月のまとめ:目次

もう二度と観ることのない映画

「もう二度と観ることのないだろうなあ」という映画があります。わたしにとってのそんな映画は、『リリィシュシュのすべて』でしょうか。もう10年以上も昔に見た映画ですが、とにかく映画を観ながら心がバキバキにへし折られたことを覚えています。

もちろん、映画作品として内容がつまらないとか、そういう理由ではなくて、むしろその内容からあふれ出る重くて鬱屈したものに耐えきれないくらい心が重くなるほどだった、みたいな感じでしょうか。

そのために、再び心がへし折られるのが耐えられないから、二度と観ることはないのだろうなあということです。映画作品として、ここまで誰かの心に影響を及ぼすとしたら、その作品の完成度は大成功と言えるのではないでしょうか。

もちろん、内容が重くて観るのがつらいなあ、再び観るのはきついなあ、という映画はいくつかありますが、よく考えてみればそういった映画作品は、人々の心に深い印象をずっと与えることができているという意味で、やはり作品としてひとつの成功なのでしょうね。

考えてみれば、内容がつまらなかったとか、理解できなかったとか、何の印象も残らなかったとか、そういう映画作品だったら、そもそもはじめから「もう二度と観ることのないだろうなあ」とも思わないでしょうし。

それでは、『誤読と曲解の映画日記』今月のまとめをどうぞ。

『誤読と曲解の映画日記』今月のまとめ

2017年5月に更新した『誤解と曲解の映画日記』の記事は2本でした。


5月13日更新:無心の赤ちゃんが大人たちの愚かさや未熟さを浮かび上がる/『赤ちゃん泥棒
記事リンク:http://nobitter73.hatenablog.com/entry/20170513/1494673200

映画『赤ちゃん泥棒』は、盗み出した赤ちゃんをめぐるドタバタ喜劇。他人の赤ちゃんを盗み出し、育てるつもりだった赤ちゃん泥棒の夫婦は、物語の終わりに成長する。まるで、赤ちゃんに育てられたみたいに。

赤ちゃん泥棒をする夫婦は、愚かで未熟な人間だ。けれども、脱獄囚たちや賞金稼ぎとの格闘、あるいは上司夫婦とのやりとりを通じて、夫婦は少しずつ自らの抱えた愚かさや未熟さから、解き放されてゆく。


5月27日更新:喜びのために生きよう! 踊って歌うために!/『ジミー、野を駆ける伝説』
記事リンク:http://nobitter73.hatenablog.com/entry/20170527/1495882800

映画『ジミー、野を駆ける伝説』は、自由の大切さや自由を追い求めることの尊さを描いた物語。自由がけっして当たり前のものではなかった時代に、自由を求める主人公ジミー・グラルトンの活動と、それを抑えようとする人々との対立を描く。

自由のなかった時代に、自由を求めるのがどれだけ困難だったのか。現在の日本とは、時代も社会構造も政治体制も異なるが、ジミーの自由を求め続けた姿勢は燦然と輝いて見える。それは、自由が尊いものでかけがえのない輝くものであり、その輝くものをひたむきに求めたジミーの姿もまた、生き生きと輝いているからだ。


それぞれの記事には、yahoo!映画と映画.com、そしてFilmarksへのリンクがあります。あらすじなどの参考にどうぞ。

『誤読と曲解の読書日記』今月のまとめ

『誤読と曲解の読書日記』は、管理人の”のび”が運営する、読書の感想を書くブログです。ご興味がありましたら、ぜひご笑覧ください。2017年5月に更新した『誤読と曲解の読書日記』記事は2本でした。

5月5日更新:サスペンスと冒険、人として大切なことがいくつか/E・ケストナー池田香代子訳)『エーミールと探偵たち』岩波少年文庫
記事リンク:http://nobitter73.hatenadiary.jp/entry/2017/05/05/090000

『エーミールと探偵たち』は、ベルリンを舞台に、少年エーミールが友情を育みながら、お金を盗んだ犯人を追いかけてゆく、サスペンスと冒険に満ちた物語。同時に、冒険を通じた子どもたちの機転と勇気のあふれる物語とも言えるだろう。

冒険の終わったあとの、エーミールのおばあさんの演説が、また良い。おばあさんは次のようなことを訴える。自分の義務や役割をきちんと把握し、目立たないところでも、それをやり遂げることの大切さ。表舞台で華々しい活躍をしない子どもでも、ちゃんと見守っている人の存在。

子どもたちの大冒険だけを描くのではなく、そういったことを描くからこそ、ここに描かれた大冒険は、ひときわ輝きを増し、大人になったわたしたちの胸にさわやかな読後感を与えてくれるのだろう。


5月10日更新:わたしたちの心の奥底まで見透かすグレアム・グリーンの目/グレアム・グリーン(小津次郎訳)『第三の男』ハヤカワepi文庫
記事リンク:http://nobitter73.hatenadiary.jp/entry/2017/05/10/200000

グレアム・グリーン『第三の男』は、第二次世界大戦直後のウィーンを舞台に、人間の暗黒面を見つめる物語。この『第三の男』は、単なる事件の真相を暴いてゆくだけの謎解き物語の範疇には収まらない。

この物語の中でのウィーンの地下深くを走る大下水路の描写は、同時に人間のことを普遍的に言い表していると言えるだろう。荒廃した街が人々の心まで荒廃させ、その人々の心の奥底にはさらに、奥深い暗闇が張りめぐらされていることを描写しているように思えるからだ。


それぞれの記事には、出版社ホームページとブクログへのリンクがあります。

管理人からのお知らせ:Amazonほしい物リスト

Amazonほしい物リストをつくっています。
炭酸水と辞書、読みたいと思っている本を入れております。
このブログともども、ほしい物リストもよろしくお願いいたします。

読書&映画日記管理人のびのほしい物リスト
www.amazon.co.jp


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
管理人のFilmarks:https://filmarks.com/pc/nobitter73
管理人のtwitterのアカウント:https://twitter.com/nobitter73
管理人のメールアドレス:nobitter73 [at] gmail.com
※[at]の部分を半角の@に変更して、前後のスペースを詰めてください。
『誤読と曲解の映画日記』管理人:のび
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー